女子にもわかる自衛隊

もし、彼氏・彼氏未満の相手が災害派遣に行ったら

災害派遣は、彼女さんや彼女未満さんも戸惑うもの

ここ数年、地震や台風、水害などが度々発生し、自衛隊の災害派遣が増えています。今年もすでに、いくつかの災害で自衛隊が派遣されました。 災害派遣は長期に渡ることもあり、そうなると派遣された隊員は家を空ける期間が長くなってしまうため、奥様を始めご家族にも大きな負担がかかることがあります。
そしてご家族だけでなく、お付き合いをしている彼女さん、またお付き合い未満の関係にある方もいろいろと戸惑ってしまうことは少なくありません。
今回は、「もし、彼氏・彼氏未満の相手が災害派遣に行ったら」どんな戸惑いがあるのか、そしてその戸惑いをどう受け止めれば良いかをお話したいと思います。自衛官とのお付き合いを希望しているみなさんに、少しでもお役立て頂けると嬉しいです。

災害派遣で、真っ先に駆け付ける人たち

まず、自衛隊の災害派遣とはどのように始まるのかを簡単にご説明します。
なにか大きな災害が起こると、予測される被害の大きさによって、自衛隊は偵察(航空機などで現場の状況を確認)を行います。
一方、被害があった自治体でも「救助や被災者の支援をどうするか」を検討し、自治体や消防などだけでなく、自衛隊にもその活動に加わって欲しいという判断が下されたら、自治体から自衛隊へ災害派遣の要請が行われます。そして、自衛隊の災害派遣が始まります。
災害はいつ起こるか分かりません。そこで、いつ災害派遣要請が行われてもすぐに活動ができるように、自衛隊は「ファスト・フォース」という部隊を作っています。ファスト・フォースは、「初動対処部隊」とも呼ばれていて、その名の通り「初動」の部隊です。真っ先に現場に駆け付けるファスト・フォースは、各部隊が持ち回りで担当しています。

大きな不安は、「連絡が取れなくなる」こと

……と、ざっと「災害派遣がどう始まるのか」をお話しましたが、こういった「災害が発生してすぐに動く部隊」に彼氏さんや彼氏未満さんが所属していたら、災害が起こった瞬間からしばらくは会うことはおろか、連絡がまったく取れなくなる可能性があります。
そして災害派遣活動が本格化すると、「災害が発生してすぐに動く部隊」だけでなく、他の部隊も現地に派遣されます。災害派遣が長期化すれば、より多くの部隊が災害派遣活動に関わることになります。これらの部隊の人とも、「しばらく会えない」「連絡が取れなくなる」ことになります。
災害派遣活動中の自衛官にも、休憩時間や睡眠時間はあります。しかし、スマホの電波が届きにくい地域にいることもありますし、疲労で「LINE1本を返す気力すらない」ということもあります。もし連絡が取れたとしても、災害派遣以前のような頻度ではなくなるでしょう。

不安を大きくしてしまうと、疑心暗鬼の原因にも

連絡がまったくなかったり、少なくなったりすると、戸惑ったり、ときには不安になったりすることもあるかと思います。お付き合いを始めてまだ日が浅かったり、お付き合い未満の状態だと特にそうかもしれません。
テレビなどの報道を見ていれば、一番辛く大変な思いをしているのは被災地のみなさんであることを頭では重々分かっていても、不安な感情は抑えられないこともあります。あまりにも不安になってしまうと、「ひょっとしたら連絡を取ることができるのに、なにか他の理由で連絡をくれないだけなのかも?」なんて、不必要な疑心暗鬼になってしまうこともありますよね。

不安はSNSで解消しよう!

画像引用:防衛省Facebook

そんなときに活用して欲しいのが、ツイッターなどのSNSです。自衛隊の各部隊では、SNSで活動内容を公開していて、「今この部隊はこんな活動をしていますよ」といった写真もアップされています。彼氏さんや彼氏未満さんの部隊名で検索すると、自衛隊公式のアカウントが見つかると思います。
ただし、この検索にはちょっとコツが必要です。例えば第1普通科連隊の情報は、第1普通科連隊が所属する第1師団が公式アカウントで発信しているので、第1師団のアカウントを探さなければなりません。「普通科連隊」や「師団」という言葉は耳慣れないと難しく感じてしまうと思いますが、ネットでも調べられますので、ぜひ探してみてください。
お相手と連絡が取れなくても、今どこでどんなことをしているのかが分かっただけで少し安心できますし、運が良ければ、アップされている写真に、元気に活動しているお相手の姿を見つけることができるかもしれません。

災害派遣終了!でも、まだ会えない……?

被災地の状況が落ち着き、自治体が「自衛隊さん、もう災害派遣は大丈夫ですよ」と判断すると、自衛隊の災害派遣は終了します。しかし、「さあ、これでゆっくり会える!」となるかというと、そうはいかないこともあります。被災地から戻ってきても、災害派遣で使った器材の整備をしなければなりませんし、今後のために活動の記録をまとめるお仕事なんかもあります。これらの仕事が終わっても、溜まった疲労からただただ爆睡で会う気力がないかもしれません。災害が発生する以前のように、頻繁に連絡を取ったり、デートをしたり……となるまでには、もう少し時間がかかる場合もあります。

不安なのは自衛官も同じ

ご家族だけでなく、彼女さんやお付き合い未満の方も戸惑いを持ってしまう災害派遣。ですが、そもそも自衛隊には、災害派遣だけでなく、「急に連絡が取りにくくなった」「急なお仕事でドタキャン」がつきものです。
そして、このことを不安に思っているのは女性だけではなく、自衛官も同じ。いいお付き合いに発展しそうな出会いがあっても、「急な仕事で連絡が取れず、自然消滅してしまった」というお話は自衛官からよく聞きます。
しかし、逆のパターンもたくさんあります。初デートが急なお仕事でドタキャンとなってしまい、自衛官が「これはもうダメだろう」と諦めていたのに、女性は「自衛隊とはそういうお仕事なんだろうな」と不安がらずに受け止め、改めてのデートが実現したケースも。ちなみにこのカップルはその後お付き合いに発展し、結婚。今は3人のお子さんに恵まれ、ご家族みなさんで幸せに暮らしていらっしゃいます。

お互いに安心できれば、被災者のためにもなる!

もし、彼氏さんや彼氏未満さんが災害派遣で急に連絡が取れなくなってしまったら。不安な気持ちを持ってしまうのは仕方のないことですが、あまり頻繁にLINEなどを送るのはガマンして、
・返信はいらないからお仕事をがんばって欲しい
・お仕事が落ち着いたらまた会いたい
程度のメッセージを残しておき、あとは気を揉まずに待っておきましょう。そうすれば、同じように不安な気持ちでいるお相手の方も安心することができます。そして、その安心はきっと、被災地・被災者のみなさんのための大事なお仕事にもつながるんじゃないかな、と思います。

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